つい先日、神戸市元町まで”既存住宅状況調査技術者”の講習を受けに行ってきました。

長ったらしい名称ですが、、、
平成28年度に改正された宅地建物取引業法(不動産の売買・賃貸に関する法律)
において、既存住宅の媒介契約(売買を仲介する事になったら)をした際には

建物の状況(構造の劣化・雨漏り・耐震等)を調査するか売り主及び買い主に確認してね!

っという決まりが出来、その調査する役割を前出の講習を受けた建築士が担うわけです。

最近では、こうした住宅の状況調査を”インスペクション”と呼んだりしていますが、そう
した制度が出来た背景には、、、

深刻な空き家数の増加と住宅ストック量

2060年には、日本の人口は3000万人(約70%)減り、8600万人程度に。
推計データの出典元で少し変わりますが、人口減少の問題はよく耳にするようになりました。

日本の総人口は平成22年にピークを迎え、世帯数も平成32年以降は減少が始まる見通し
となっているそう。特に、地方圏においては大都市圏よりも世帯数の減少が早く始まり、平
成27年以降は減少を続けていっています。

※大都市圏:住生活基本法施行令で定める都道府県(茨城県・埼玉県・千葉県・東京都・
神奈川県・愛知県・三重県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県)
※地方圏:大都市圏以外の都道府県

その一方で、、、

平成25年度における住宅の総住戸数は約6.063万戸(平成25年)に達し、5年前に比べて、
約305万戸(5.3%)増加していますが、そのうちの約818万戸が空き家という状況です。

空き家率は13.5%に達し、7~8軒に1軒以上が空き家(住宅ストック)となり、その扱い
をどうするかが、昨今の住宅政策の課題の一つとなっているわけです。

これからの人口減少・世帯数減少を迎える上で”いよいよ無視できない状況になった”という
のが、この制度の実情なのかなと思っています。

中古物件の流通状況とインスペクション(調査)

年間92.1万戸(平成25年)の新築住宅が建築される中で、既存住宅の流通は年間17万戸
程度(空き家数は800万戸程度)と、中古物件を選択する人の割合は低いままです。

ただ、平成元年から平成25の間の既存住宅の流通量の内訳を見てみてると、一戸建ての流通
は落ちているものの、共同住宅(マンション)の流通量は大きく上昇している事ようですね。

その一因として、共同住宅は利便性の良い立地の事が多く、管理組合(または管理会社)に
より修繕計画(メンテナンス)がしっかりと実施されている事から建物の状態も良く、既存
戸建てと比べると”購入の不安やリスクが少ない事”が起因していると思われます。

特に、住宅のローン控除の要件となる新耐震基準(1981年6月以降に着工)の性能を
持った中古マンション住戸の流通が一番盛んになっているのではないかなと思います。

こうした内訳の変化があるとはいえ、既存住宅自体の流通(特に戸建て住戸)は増加してい
ないわけで、、、

基本的に新築志向が強い事もありますが、一番の理由としては、、、

既存住宅に対する買い主さんの”不安”・”不信感”が解消される仕組みや制度が無いから

これに尽きると思います。で、その”不安”や”不信感”を解消し、安心して既存住宅を購入出
来るような環境を整え、既存住宅の流通量を増やそう!空き家ストック問題を改善していこ
う!というのが、今の国交省のスタンス、、、だと理解しています。

流通環境を整える事 = 中古住宅の状況を伝える事 という観点から、「インスペクション
(調査)の普及促進」が掲げられて、今回のような講習や宅建法の改正が進められ、新たな
仕組みや制度つくりが進めらているわけです。

ただ、、、残念ながら改正宅建法に基いて行うインスペクション(状況調査)の普及だけでは、
既存住宅を検討及び購入する買い主さんの”不安”は解消されませんし、流通量の増加にも繋が
らないように思いました。

安心を既存住宅売買瑕疵保険に求める

改善されない一番の理由としては、、、
宅建法の改正に基づくインスペクションは目視を中心とした基礎的な内容となっており、その
調査だけを判断材料に物件の購入を決めるには、個人的にも、調査する側(賠償責任が出る)
としても、こわいな、、、というのが講習を受けての本音です。

それと少し違和感があるのが、、、
インスペクションが実施されたとして、買い主さんがその結果を知るのは”重要事項説明時”
大抵は売買契約と同時に行う事が多いので、契約直前にこうした情報を知ったとしても、その
情報を上手く活用出来るようには思いません。

いろいろと問題はありそうですが、売り主さん及び買い主さんの既存物件売買に対する意識を
向上させていく制度でもあると思うので、来年4月からの施行後に改善が重ねられていく事、
インスペクションが普及する事を願っています。

そして!インスペクションと同時に普及して欲しいと願うのが、”既存住宅売買瑕疵保険”です。

いろいろと調べていて驚いたのは、今、個人間売買の6割ほどが「現状有姿」つまり、瑕疵への保証無し
での売買となっているようで、売り主さんの瑕疵担保責任がない条件での売買契約が常態化している様子。

たしかに、構造的な瑕疵や雨漏りなどが発生した場合の補償費用を考えると、物件価格を抑えてでも”現状
有姿”での売買にしておく方が売り主さんのメリットはあるように思いますが、それが買い主側の立場とし
ては不安でしょうがないと思いますし、やはりトラブルの元になっているように思います。

理想としては、売り主さんに”既存住宅売買瑕疵保険”に加入してもらい、瑕疵責任がしっかりと保証されて
いる既存住宅を購入されるのが一番だと思います。

その保険料や検査費用は売り主さんの負担となりますが、現状有姿や瑕疵担保免責にするための値引きと
比較すれば、メリットは大きいのではないでしょうかね。。。

また、買い主さんが売り主さんの同意を得て、保険料を負担して瑕疵保証をしてもらうパターンもある様子。
売り主さんの責任に対して自分で保険を掛けるというのは、おかしな気もしますが、自分の財産を守る為
はこうした方法も有効になってくるのかなとは思います。

最後に、、、住宅ストック政策(住宅ストック循環支援事業)として、
①若者(40歳未満)
②既存住宅を購入
③インスペクションを実施
④既存住宅売買瑕疵保険への加入

上記の①~④に該当する場合、インスペクションとエコリフォームに対して、補助金が支給される等の制度
も有り、今後の支援策においても”既存住宅の購入+インスペクション+瑕疵保険への加入”は基本となって
いくように思います。

既存住宅売買瑕疵保険を扱っている住宅瑕疵担保責任保険法人(国土交通大臣指定)
 ・(株)住宅あんしん保証
 ・住宅保証機構(株)
 ・(株)日本住宅保証検査機構
 ・(株)ハウスジーメン
 ・ハウスプラス住宅保証(株)

※上記の各保険会社のHPから検査事業者を検索し、インスペクション及び保険加入の申込が可能です。


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