着工前の床の部分解体。床の厚み等を確認する(西宮 部分リフォーム)

躯体まで解体するスケルトンリフォーム・全面リフォームだけではなく、”部分的なリフォームを検討している
のですが、、、”っというご相談も多く頂きますので、昨年の2014年9月から西宮市甲子園で工事をさせて
頂いたM邸部分リフォームを数回に分けて、ご紹介をしていこうと思います。
(工事を進めながらブログを書きたかったのですが、ドタバタとしていたら、、、こんなタイミングに汗)

部分リフォームの場合は、新しい部分と既存利用部分との兼ね合いがあり、全面リフォームとは
進め方が異なる部分もありますので、そうしたポイントもご紹介出来ればなと思います。

では、まずは工事概要です。

●M邸部分リフォーム工事概要
場所:兵庫県西宮市
工期:一ヶ月
工事面積:約35㎡

-工事内容-
・廊下、LDKを杉フローリングに張替え(既存の乾式遮音二重床を利用)
・造作キッチン(ペニンシュラ型)に取替え
・キッチン収納、カウンター収納を造り付け
・建具を引き戸に取替え
・照明(ダウンライト、ダクトライト)に取替え
・壁、天井クロス張替え

まず、この物件は新築時から下階への遮音性能を乾式二重床工法で確保していました。関西圏の多くはコン
クリート床面に遮音フローリング(ふにゃふにゃとした歩行感の製品)を直貼りしている物件の方が多いので、
どちらかと言うと稀なケースになります。※床に無垢材を張る場合は、乾式二重床の施工が基本となります。

また、浴室や洗面の水回り部分のみコンクリート躯体に段差をつけて(少し落として)作る事で排水スペース
を確保し、全室バリアフリーというのがリフォーム前の状態でした。

今回の部分リフォームで床を張り替える範囲は”廊下”と”LDK”でしたので、バリアフリーを維持する為には
既存の合板フローリングの厚みに合せる必要がありました。乾式二重床を一から施工し直せば、二重床で
高さ調整をする事が出来ますが、乾式二重床の既存利用を前提とした工事でしたので今回は、杉フローリ
ング材の厚みで高さ調整を行う事になりました。

尚、元が直貼りの遮音フローリングですと、乾式二重床 + 杉フローリングに仕様を変える場合は、
現状床面から10センチほど床面が上がってきます。床面があがるので既存建具・既存設備の再利用
が難しい事、床張りを部分的にする場合は他室との段差が大きくなる等、リフォームのハードルが
高くなりやすいです。

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厚みで調整を行う為には、既存の合板フローリングを厚みをしっかりと把握する必要があります。
もちろん、事前に管理人室等に備えられたている新築時の図面(竣工図と言います)を確認し、
大体の厚みは予想出来ましたが、その通りに施工されている保証ありませんので、、、
竣工図はあくまで参考とし、解体等でしっかりと計測しておく事が大事なポイントになります。

今回は、工事の着工前に施主さんに許可を頂き、一部先行して床を解体させてもらう事が出来ました。
(床をカットしているのは、現場監督の西村さん)

既存合板フローリングの下にガス温水式の床暖房パネルが敷き込まれていましたので、樹脂管を
切ってしまわないように端っこの方をカット。
今回のリフォームで撤去する事になっていましたが、樹脂管内部には不凍液の水分が充填されて
いるので、下手にカットすると結構な量の液体が出てくるので、破損の無いよう十分に注意します。

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カットした既存の合板フローリング材の厚みを計測。
12ミリほどの合板フローリングが張られていた事が分かりましたので、既存枠等との兼ね合い・加工代を
考慮して丸岡材木さんに注文する杉フローリング材はそれよりも少し厚い15ミリのフローリング材を注文
する事になりました。
※既存枠部分等、微妙な段差が生じる箇所に関しては斜めにカットしてもらい極力、段差を感じないように加工。

ちなみに、カットされた合板フローリング材は、ベニヤを三枚ほど貼りあわせた合板の表面に薄い化粧シート
を張った製品の様子。表面のコンマ何ミリのみが無垢(と呼んでいいのか)の材料になります。某メーカーの
工場を見学した際に聞いた話では、このコンマ何ミリかが木の奥行きを感じられる数字だそうです。
そういう技術・研究は素直にすごいなと思うのですが、なんだか心には響かない、、、(笑)

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↑部分解体後の様子。
銀色の部分がガス温水暖房パネルの敷き込み部分。右端部分は乾式二重床の表面(パーチクルボード)が見えています。

部分解体による調査で床材の厚みの他に、床暖房パネルの敷き込み箇所とその他の箇所で、乾式二重床
の高さが変えてある事もわかりました。
床暖房パネル部は30ミリ(合板フローリング12ミリ+床暖房パネル18ミリ)、その他の部分は合板
フローリングのみの12ミリとなっていましたので、杉フローリングの段取りと同時に段差調整用の合板
の段取りが必要な事がわかりました。

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念のため、数カ所の床の部分解体を行い、出来るだけ詳細に現況を把握しておくのがポイント
かなと思います。っというか、やっていると”あそこはどうなってるんだろうか?”っと不安に
なっていきます(笑)

また、事前解体をしてまで床の現況を念入りに把握する大きな理由として、全面リフォーム
と部分リフォームの工程・工期の違いが挙げられます。

全面リフォームであれば、スケルトンになった所に乾式二重床を一から施工するので床の厚み
を気にする事なく(現況に合せる必要な無く)前もって発注しておけますし、解体工事・乾式
二重床工事には二週間ほど掛りますので、着工と同時の発注でも床張り工事までには間に合う
ような算段になります。

ですが、部分リフォームは工事面積が小さい事が多く全面リフォームほど解体工事・乾式二重
床工事(今回は二重床工事は無し)に時間が掛りませんので、床張り工事に間に合わせる為に
は着工前に発注しておく事が必要になります。

加えて、工事面積だけで見ると、全面リフォームよりも確実に少ないのですが、既存部を残し
ながら、、、既存部分に合わせながら、、、っという作業は、想像以上に手間が掛ります。

工程が少ない分、遅れを取り返す事も難しいので、監督さんの工程管理は特にシビアなものになります。

そのシビアな工程を少しでもスムーズに進める為に、部分リフォームでは事前解体&現況把握する事
がより一層、大事になってくるなと感じました。

現場のポイントばかりになってしまいましたが、最後に部分リフォームを検討する施主さん側の
ポイント(心構え?)としては、、、

「どこを優先してどこを我慢するか(出来るか)」を明確にする事!

当たり前なのですが、やっぱり、これ↑かなと思います。
優先順位は人それぞれですが、人が集まる場所(リビングやダイニング)や毎日立つキッチンは、
優先したいものですね(^^ゞ

次は、解体・杉フロ-リング張り工事(設計図通りの施工が出来るかどうかを判断する場にもなります)
の内容をご紹介して行こうと思います。